東京都墨田区の社会福祉法人「賛育会」は31日午後、親が育てられない子を受け入れる「赤ちゃんポスト」と、病院以外に身元を明かさない「内密出産制度」を同区の賛育会病院で始めた。中村基信常務理事は開始に先立ち都庁で記者会見し「行政と連携し、赤ちゃんの命を守る最後のとりでになる」と話した。児童相談所を所管する都は学識経験者らでつくる検証部会を設け、運用状況を確認すると明らかにした。

 賛育会によると、医療機関による実施はいずれも2例目。赤ちゃんポストの名称は「いのちのバスケット」(通称ベビーバスケット)。預かる対象は生後4週間以内を想定し、ホームページで預け方や注意点を告知する。預け入れから1分以内にスタッフが駆けつけられるようにする。その後、児相に通告する。

 弁護士らでつくる第三者委員会を設け、事業をチェックする。内密出産の相談に応じる専用ダイヤルも設け、平日の日中に対応する。

 都によると、賛育会の赤ちゃんポストや内密出産に関し、養育先の確保や戸籍作成などを墨田区と連携して進める。