新潟県長岡市に、手描き看板で有名なペットショップ「松田ペット」がある。ビーグル、チワワ、ヨークシャーテリアの3匹がシュールな表情を浮かべ「例の看板」として親しまれる。今年に入り、看板をおよそ40年制作してきた同県小千谷市の近藤忠男さんから埼玉県川越市の青柳謹一さん(83)に、絵師のバトンが正式に渡った。手描きならではの、温かみが伝わる作風を受け継ぐ。
店に飾られた1980年代の初代看板にはインコや金魚が描かれている。90年代には2匹のシェットランドシープドッグなど、時代による人気の移り変わりを投影。2000年代ごろから、現在のコミカルな3匹に落ち着いた。1枚ずつ、表情や目線に違いがある。
72年創業で、事業が軌道に乗り看板の掲示を考えていて、看板屋の知人、近藤さんを思い出した。一度に大量注文するのは金銭的に厳しく、月2枚の手描き制作を依頼。長年お願いしてきたが90歳を超え活動が難しくなり、松田保夫社長(81)の地元の先輩、青柳さんへの交代が決まった。