東芝で2015年に発覚した不正会計問題を巡り、同社が旧経営陣ら5人に注意義務違反があったとして計32億円の賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は19日、うち3人の責任を認定して計2億円の支払いを命じた一審判決を取り消し、東芝側の逆転敗訴とした。
訴訟では(1)米国の地下鉄事業で受注した電機機器の納入(2)高速道路の自動料金収受システム(ETC)更新(3)米国での原子力プラント新規建設―などの事業の会計処理について違法性の有無が争われた。
中村也寸志裁判長は、地下鉄機器納入事業で引当金の計上額が過少であった可能性があり、ETC更新事業では適切に引当金を計上しなかったと指摘。ただし、有価証券報告書の重要事項に虚偽記載したとは言えず、違法な会計処理ではないと判断した。残る事業についても違法性を認めなかった。
一審東京地裁判決は、一部で違法な会計処理があったと認定。元社長の佐々木則夫、田中久雄両氏と元副社長の久保誠氏に計2億円の賠償を命じた。元社長西田厚聡氏(故人)ら2人の責任は否定していた。