記者会見する全国B型肝炎九州訴訟弁護団の小宮和彦弁護士=18日午後、福岡市

 集団予防接種の注射器使い回しが原因でB型肝炎を発症し、再発した患者らが国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、福岡高裁(新谷晋司裁判長)が和解に向け、発症と沈静化を繰り返す「再々発型」の慢性肝炎患者への新たな救済案を示したことが18日、分かった。原告側によると、国が受け入れの可否を検討する見通し。

 慢性肝炎患者の救済範囲を巡り、賠償請求権が消滅する「除斥期間」(20年)の起算点をいつにするかが争点になっている。国は最初の発症時としていたが、最高裁は2021年4月、「再発型」の患者の起算点を再発時とし、救済範囲を広げる判断を示した。

 原告側によると、14日付で示された救済案では一定期間、治療が中断したと認められた場合、再々発時を除斥期間の起算点とする。和解が成立した場合、全国の裁判所で係争中の約300人のうち、35人程度が対象となるとみられる。

 記者会見で九州訴訟弁護団代表の小宮和彦弁護士は救済案を評価した上で「早期救済の必要性が強い。国も受け入れてほしい」と求めた。