量子科学技術研究開発機構とNTTは17日、核融合炉の中にある、電気を帯びた高温ガス「プラズマ」の動きを人工知能(AI)で高精度に予測する技術を開発したと発表した。核融合は発電利用を目指して研究が進行中。今回の成果は、直接見ることができない炉内の状態を常に把握し、制御する技術の確立に道を付けるものとなった。
現在最も研究開発が進んでいるのは、ドーナツ形の容器内に強力な磁場をつくってプラズマを浮かせたまま閉じ込め、軽い原子核同士が衝突して重い原子核になる核融合反応を起こす「トカマク方式」だ。プラズマをうまく維持して反応を持続させられれば、発生する膨大なエネルギーを熱に変え、発電に利用できる。
量研などの新手法は、炉のあちこちに取り付けた磁場センサーからの情報を基に、個性の異なる複数のAIを組み合わせてプラズマの位置や形を予測させるもの。茨城県那珂市にある実験装置「JT60SA」が2023年にプラズマを生成した際のデータで検証すると、容器内のプラズマの形を誤差1センチ以内という精度で当てられた。