儒教の祖である孔子を祭る「久米至聖廟」について、那覇市が公園への設置を許可したことが憲法の政教分離原則に反するかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(岡正晶裁判長)は17日、合憲と判断した。裁判官5人全員一致の結論。違憲だと主張した住民の敗訴が確定した。

 孔子廟を巡っては、最高裁が2021年2月、土地の使用料免除は「特定の宗教に対する特別な便益だ」として違憲と判断。今回の訴訟は、設置許可自体について改めて判断を求めるものだった。

 第1小法廷は設置許可に関し「歴史的、文化的価値や観光資源としての意義に着目しており、許可の目的に宗教的意義があるものではない」と指摘。さらに、公園使用料の納付義務があるため特別の便益の提供ではないとした。

 判決によると、琉球王朝の発展に寄与した「久米三十六姓」の研究などをする一般社団法人「久米崇聖会」は13年、市の許可を得て中心部の松山公園に久米至聖廟を建設した。年約576万円が免除されていたが、21年の最高裁判決を受けて、同会は市に使用料を支払っている。