「福島国際研究教育機構」のイメージ

 「福島国際研究教育機構」(福島県浪江町)の敷地造成工事が4月に始まる。研究環境の整備で、政府がうたう「世界に冠たる創造的復興」の中核拠点としての活動が加速する。国内外の優秀な研究者をいかに集められるかが焦点で、政府はPRを強化する。

 機構は2023年に発足した。31年3月までに研究棟などが順次完成する予定。現在は町内の別場所で間借りしている。今月初旬時点で約20人の研究者が所属し、外部委託も含め65件ほどの研究に携わる。政府は29年度までに研究者を500人規模にしたい考えだ。

 東京電力福島第1原発事故の廃炉作業用ロボットへの活用を目指し、放射線への耐久性が高い集積回路の開発を進めるほか、再生可能エネルギーを水素に変換して貯蔵する技術を研究。原子力災害に関するデータなども集め、原発事故の教訓を世界と共有する。

 課題は認知度不足だ。PR強化に向け政府は、研究成果をSNSなどで発信する人材を「サイエンスコミュニケーター」として採用する方針。機構の存在意義も広く訴え、人材獲得につなげる狙いだ。