記者会見の冒頭に謝罪する神戸市立医療センター中央市民病院の院長(中央)ら=5日午後、神戸市中央区

 神戸市立医療センター中央市民病院は5日、尿管がん摘出手術を受けて再発予防の治療中だった70代男性の主治医が、投薬による異常値に気付いたにもかかわらず中止の指示を忘れ、投与を続ける医療ミスがあったと発表した。男性は肝不全などで2月10日に死亡。病院は因果関係を認めて遺族に謝罪するとともに、補償を含む対応を検討している。

 病院によると、手術は昨年11月。再発リスクが高いと判断されたため、12月にがん免疫治療薬「オプジーボ」を投与した。2回目に先立つ血液検査で、肝機能の数値が投薬中止の基準値を超過。主治医の30代男性医師は結果を認識していたが、投与を指示した。

 男性は今年1月の検査で、投与による副作用が疑われる肝機能障害が判明し、入院。その後亡くなった。医師は聞き取りに、他の症状への対応に意識が集中したため、指示し忘れたと説明しているという。薬剤師も数値の異常に気付かないまま調剤した。