岩手県大船渡市で山林火災の消火活動をする青森県から派遣された隊員=4日午前(総務省消防庁提供)

 平成以降で最大規模となった岩手県大船渡市の山林火災は5日で発生から1週間。出火後初めて降雨が観測され、長引く避難生活を送る住民らは収束を願った。これまで少雨や乾燥という気象条件に加え、三陸沿岸特有の地形が消火活動を阻んできた。東日本大震災からの再建を果たした主力産業の漁業にも被害が出ており、暮らしへの影響は必至だ。

 火災は2月26日に発生。昼過ぎから数時間での焼失面積が600ヘクタールと一気に燃え広がり、今月5日時点で約2900ヘクタールに。東北太平洋側は今冬、冬型の気圧配置が優勢で雨や雪が少なく、同市の2月の降水量は2・5ミリで観測史上最少。風も強く、初日はヘリコプターでの消火ができなかった。

 延焼が長引く要因の一つには消火活動の難しい地形がありそうだ。周辺は複雑に入り組んだリアス海岸で、海沿いから急峻な斜面が立ち上がり、足場が悪くなっている。

 さらに腐葉土のような状態になった落ち葉が乾いて堆積。表面の炎を消しても下層に残った火だねから再び出火する恐れがある。