企画展で初公開された空襲被害の写真=2月、東京都墨田区のすみだ郷土文化資料館

 太平洋戦争末期の1945年3月10日、約10万人が犠牲となったとされる東京大空襲から80年となる。すみだ郷土文化資料館(東京都墨田区)で、焼け野原となった街の写真など計53点を展示した企画展を開いている。地元の写真館から提供を受け、燃え上がる家屋の写真も初めて公開する。5月25日まで。

 企画展は「東京大空襲80年―新たな記録を探し続けて―」。初公開の写真は5点だ。燃える家屋のモノクロ写真は、空襲中に撮影されたとみられる。多くの建物が焼失し大きな被害を受けた両国橋付近の様子のパノラマ写真もある。

 いずれも同区の「工藤写真館」の故工藤哲朗さんが間近でカメラに収めた。ほかにも空襲で焼けた旧国技館などの写真が展示されている。

 このほか、東京都公文書館所蔵の「市民防護室」図面を初めて展示。これまでの証言などから、関東大震災後に再建された復興小学校の地下に人々が逃げ込む防空壕のようなものがあったと考えられていたが、市民防護のための施設だったことが公文書館の関連資料で裏付けられたという。