JR東日本の子会社で、駅ビル内の商業施設を運営する「アトレ」(東京)が、ポイントサービスの運営費用の一部をテナントに負担させる契約に一方的に変更したのは独禁法違反(優越的地位の乱用)に当たる恐れがあるとして、公正取引委員会は5日、今後同様の行為をしないよう同社に警告した。
アトレは恵比寿や秋葉原など首都圏の主要駅で施設を運営。JR東の関連施設で買い物をした利用者に「JRE POINT」を付与している。
公取委によると、アトレとのテナント契約には、同社がポイントの運営費用を負担すると明記している。だが昨年7月ごろ、テナント約600社に対し、一部を負担させる方式に今年4月から変更すると通知した。
一部の社が問題だと指摘したが「次の契約に影響する」と脅すような言動も確認されたという。公取委は、強い立場を利用した一方的な取引条件の変更に当たる可能性が高いと判断した。
アトレは公取委の調査を受け、2月に変更を取りやめた。今後テナント各社にポイントサービスの高い集客効果や想定負担額を説明し、個別に覚書を交わす手続きを進めるという。
アトレは5日、「警告を真摯に受け止め、法令順守の取り組みを徹底していく」とのコメントを出した。
警告は、違反が疑われる行為の中止や再発防止を求める行政指導。