広島や長崎の被爆者らが四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めなどを求めた訴訟の判決で、広島地裁(大浜寿美裁判長)は5日、原告側の請求を棄却した。地震や火山噴火などのリスクに対する安全性の確保や、立証責任の所在が争点だった。
2016年の第1次提訴以降、9次まで追加提訴が続き、原告は被爆者38人を含む計337人。原告側は南海トラフ地震や阿蘇山(熊本県)の噴火などのリスクに対して四国電の評価モデルは不適切だと主張した。格納容器の水蒸気爆発の危険性がないことも立証できていないと訴えた。
四国電側は「国が検討した最大クラスの巨大地震を基本とし、さらに強い揺れを想定している」「巨大噴火が起きる可能性は十分に小さい」などと反論し、請求棄却を求めた。
伊方3号機を巡っては、広島高裁が17年と20年に地震や火山への対策が不十分だとして差し止めを命じる仮処分決定を出したが、いずれも異議審で覆った。
差し止め訴訟は松山、大分両地裁と山口地裁岩国支部にも起こされた。