菊池事件の再審を求め、熊本地裁前で開かれた集会=3日午後

 ハンセン病患者とされた男性が隔離先の特別法廷で死刑判決を受け、1962年に執行された「菊池事件」の第4次再審請求審で、弁護団が申請した法医学者の証人尋問が3日、熊本地裁であり、「遺体には凶器とされた短刀ではできない傷がある」と証言した。非公開の尋問後、弁護団が明らかにした。

 弁護団によると、確定判決が認定した凶器は刃渡り約26センチ、重さ約95グラムの短刀で、唯一の物的証拠とされる。

 証人出廷した山本医学鑑定研究所の山本啓一所長は、遺体の骨に残った傷痕は短刀で形成不可能だと指摘。被害者は二十数カ所の傷を負ったのに、男性の着衣に返り血が付いていないのは不自然と主張した。