少子化や大学入試改革で今、高校を取り巻く環境は大きく変化しています。岐阜県内の高校はどう対応していこうとしているのでしょうか。岐阜新聞デジタルは各校の校長らトップにインタビュー。学習方針や進路対策、キャリア教育について考えを聞きました。第13回は東濃高校(可児郡御嵩町)。創立129年、県内で4番目に開校した伝統校ですが、現在は生徒の6割が外国にルーツがある国際色豊かな学校です。吉田益穗校長(60)は「生徒たちに背伸びをさせたい」と話します。(岐阜新聞デジタル独自記事です)
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―東濃高校の特色は。
県内で4番目に開校した伝統校。開校以来場所が同じで、明治時代の建物もある。卒業生にはノーベル賞が期待される人や県の財界で活躍している人もいる。
平成20年ごろから、当時の校長のリーダーシップの下、本校は「生徒が分かる」を重視した授業改革に取り組んだ。実施したのが可視化と加点法による評価。スタンプカードを作り、授業開始時間に席に座っているか、身なりがきちんとしているか、教科書を持ってきているか、などの項目ごとにできていたらスタンプを押した。
ユニバーサルデザインを意識した授業も取り入れた。黒板には掲示物を張らない。授業の見通しを最初に示す。指示は一つずつ。僕自身が意識したのは、授業の中で今なにをすべき時間なのか、を生徒に示すようにした。板書を見る時間なのか、ノートを取る時間なのか、教科書を読む時間なのか。生徒たちに何をさせたいのか、をはっきり示すようにした。
ちょうど外国につながる生徒が増え始めた時期だった。勉強が苦手な生徒たちへの取り組みは、外国につながる生徒たちにも有効な手段だった。日本語が苦手な生徒たちのために分かりやすい日本語を使う。それは日本人の生徒にも分かりやすい、という相乗効果があったと思う。
外国につながる生徒は右肩上がりで増え、24年4月現在、全校生徒329人のうち189人、約58%だ。フィリピンやブラジルが多く、ペルーやウガンダ、カンボジアなどにルーツのある生徒もいる。最初から外国につながる生徒を受け入れる高校を目指したのではない。そうした生徒が増えている状況を受け入れ、外国につながる生徒も安心して過ごせる高校を目指した。
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―外国につながる生徒へのサポート体制は。
日本語指導が必要な生徒たちを集めた「国際クラス」をつくり、日本語の授業をしている。ワンストップで支援できるよう、教務部から分離独立して国際部を設置した。外国人児童生徒適応指導員を配置。ポルトガル語、タガログ語、中国語で支援する。重要な仕事が保護者との連絡。保護者懇談会に立ち会ってもらうほか、学校からの連絡を翻訳してもらう。
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―具体的な指導内容は。
国際クラスは基本的に同じ教科の教師が2人入る。さらに母語支援の適応指導員が入る。日本語指導は担当者が「生きる力」をメインテーマで取り組んでいる。具体的には「卒業するときに一人で役所に行けること」が目標。...