三木氏の飛騨での最初の拠点と伝わる旧竹原郷。竹原小学校近辺=下呂市宮地

 三木氏の家系は「飛州志」所収の系図が一般的とされる。初代・藤原正頼に始まり、久頼―重頼―直頼―良頼―自綱(よりつな)―秀綱と続く。だが、学芸員で安国寺住職の堀祥岳さん=高山市国府町西門前=は「同時代史料で実名が判明するのは直頼以後の人物に限られる」という。

 直頼は拠点の桜洞城を築き、高山、古川盆地への北征で三木氏を大きく躍進させ、ほぼ飛騨を統一した人物。「直頼父は1516(永正13)年に死去し、十七回忌の法語が『明叔禄』に収録されるが、俗名の記載はない」と堀さん。...