多賀氏が築いたとされる飛州志所収の天神山城の絵図(国立公文書館所蔵)

 「高山」という地名の由来に確たる説はないが、史料に初めて登場するのが、初代高山藩主になる金森長近が天正年間に記した「照蓮寺文書」とされる。

 江戸時代に加納東阿が著した「安河記(やすがわき)」(飛騨遺乗合府(いじょうがっぷ)収録)は金森氏が「高山」と名付けたとする。

 さらに金森氏が築いた高山城の前身天神山城を多賀氏が「多賀山」に築いたためとする説、天神山城を築城あるいは在城した多賀氏の一族とされる高山外記の名から取ったとする説もあるが、いずれも裏付けはなく、高山外記に至っては同時代史料に登場せず、実在の疑いすらある。...