四国地方にある天台宗の寺で60代の住職から長年性暴力を受けたとする告発に対し、同宗の審理局が性暴力を認定しなかったことについて、尼僧叡敦さんが18日、東京都内で記者会見し「被害が不倫だったかのように幕引きされようとしている。絶望して苦しくて仕方がない」と訴えた。

 天台宗務庁(大津市)は16日、住職を免職に当たる「罷免」、加害を助長したとされた80代の大僧正を処分なしとする審判結果が確定したと発表。住職側は性暴力を否定しており、宗務庁によると、処分理由は叡敦さんが既婚者だと知りながら夫婦同然の生活をしたためだという。

 叡敦さんの代理人の佐藤倫子弁護士は、「意に反した性行為は行わない」という住職が署名した念書を提出して申し立てた被害を、審理局では一度も主張する機会がなかったと説明。「密室で起こる性加害への理解が不十分な判断で、第三者を入れるべきだった」と批判した。今後の対応は検討中だという。

 叡敦さんは昨年1月、住職から「逆らうと地獄に落ちる」と脅されて、性暴力を受けたと告発した。