大雨で冠水した石川県輪島市の市街地=2024年9月

 昨年9月に石川県の能登半島を襲った豪雨は、海面温度が記録的に高い「海洋熱波」が影響したとの解析結果を九州大のチームが日本気象学会国際誌に発表した。朝鮮半島の西の黄海にあった台風14号から能登半島に向かって大量の水蒸気がもたらされ、日本海南部の海洋熱波により降雨が増幅、甚大な被害につながった。

 チームの川野哲也・九州大助教(気象学)は「海水温が高い状態は近年、珍しくなくなった。豪雨災害に備えるには、台風の活動に加え、海洋状況の予測も重要になる」と話した。

 能登半島北部では昨年9月21日、線状降水帯が発生し、輪島市で1時間に121・0ミリの猛烈な雨を観測。チームによると、日本海南部の海水温は当時、平年より4・5度超高かった。前日の9月20日、台風14号が黄海上で再発達していた。

 チームは当時の海面水温と大気の状態に関するデータから、降水量などをコンピューターで再現。台風による秋雨前線の降水帯が対馬海峡から能登半島まで延び、雨量のうち最大38%が海洋熱波によるものだったと見積もった。