民間建立の戦没者慰霊碑について、厚生労働省は本年度、管理状況や損壊の有無を調べる全国調査を実施する。国内には約1万6千基の民間慰霊碑があるが、戦後80年となり老朽化が進む。倒壊などの危険を防ぐほか、戦禍の記憶をどう継承していくのかも含め、碑の維持や管理の在り方が課題だ。調査と並行し、管理が行き届いていなかったり、危険があったりする碑を自治体が移設・撤去する場合の費用の補助金を拡充する。

 調査、集計は2018〜19年度にも実施しており、碑が損傷するなど状況が「不良」だったのが228基、「やや不良」が552基。1495基は「不明」だった。地元の遺族会や住民の高齢化が進むなどして管理が困難になり、碑の劣化が進んでいることも想定されるため、改めて全国調査で状況を確認する。未把握の碑が見つかった場合も調査対象に加える。

 適切に管理されていない慰霊碑は、厚労省が16年度から、自治体による移設・撤去費用の半額を補助している。