9日、フィリピン・バターン半島サマット山の慰霊式典で、霊廟に花輪をささげる遠藤和也駐フィリピン大使(中央右)とマルコス大統領(同左)(共同)

 【バターン州共同】太平洋戦争の敗戦から80年を迎える中、日本軍と米国・フィリピン両軍が激戦を繰り広げたフィリピン・バターン半島のサマット山(バターン州)の霊廟で戦没者慰霊式典が開かれた。遠藤和也駐フィリピン大使は演説で「日本は戦争の惨禍を二度と繰り返さない決意だ」と誓約した。

 サマット山では1942年4月9日、米比両軍が日本軍に降伏。捕虜になった将兵らが遠く離れた収容所まで「バターン死の行進」を強いられ、栄養失調や虐待で7千〜2万人が犠牲になったとされる。

 遠藤氏は「この80年間、日本は平和国家としての道を、誇りと決意を持って歩んできた」と述べた。一方で「世界では力による一方的な現状変更の試みが激化し続けている」と指摘。「フィリピンは日本や地域全体にとって、重要なシーレーン(海上交通路)を共有し、戦略的に重要な位置にある」とし「戦争で分断されていた日米比は現在、同盟・パートナー国として団結している」と訴えた。