9日、ガザ南部ハンユニスで、イスラエルの攻撃で殺害されたパレスチナ人の葬儀(ゲッティ=共同)

 【ニューヨーク、エルサレム共同】国連のグテレス事務総長は8日、イスラエルはパレスチナ自治区ガザを事実上「占領」しているとし、住民への食料供給や医療体制維持など、戦時国際法のジュネーブ条約が定める占領者の義務を履行するよう求めた。ニューヨークの国連本部で記者団に当該の条文を読み上げ「何一つ実現していない」とイスラエルを非難した。

 イスラエルはイスラム組織ハマスに対し、人質解放への圧力を強めるため3月2日から人道支援物資の搬入を停止、人道状況は悪化の一途をたどる。イスラエル側は「物資不足はない」と主張するが、グテレス氏は「現実とかけ離れた言い分だ。生活必需品は極端に不足している」と訴えた。

 ガザの停戦は、イスラエル軍が3月18日に攻撃を再開したことで事実上崩壊。パレスチナ通信は9日、イスラエル軍がガザ各地を攻撃、子どもや女性を含む死傷者が出たと報じた。ガザ保健当局によると、2023年10月の戦闘開始以降のガザ側死者は5万800人以上。