尼崎JR脱線事故現場近くの畑に浮かぶ「生」の文字=9日午後1時59分、兵庫県尼崎市(共同通信社ヘリから)

 2005年に尼崎市で乗客ら107人が死亡した尼崎JR脱線事故から25日で20年となるのを前に、現場近くの畑にダイコンの白い花や黄色い菜の花でかたどった「生」の文字が浮かんだ。

 追悼の思いを込めた花文字は縦横約10メートル。畑を所有する会社役員萩本啓文さん(71)が育て、周りを丁寧に刈り取った。萩本さんは「ヒューマンエラーである限り、事故は繰り返す。風化させてはいけない」と訴えた。

 かつては近くの別の畑で、知人の松本三千男さん(89)が「命」の花文字をつくっていた。高齢のためやめたが、共感した萩本さんが、今を生きる被害者や遺族らを励まそうと種を譲り受け、毎年この時期に「生」の文字を描いている。