8日、「友好の塔」建立50年の式典で祈りをささげる日比両国の関係者=フィリピン・バガク(共同)

 【バガク共同】太平洋戦争でフィリピンに侵攻した旧日本軍が米・フィリピン軍の捕虜多数を死に追いやる「死の行進」があったバターン半島で8日、日本人とフィリピン人の計約200人が平和を願って共に行進した。「友好の塔」建立50年の式典も開かれた。

 友好の塔は、反日感情が強かったバターンの住民らと交流し、戦争の傷痕の深さを痛感した立正佼成会の信者らが募金を集め、行進の起点となったバガクに建てた。

 バターン州のガルシア知事は式典で「塔は悲劇の始まりを示しているのではなく、人間性が悲劇を克服した記念碑になった」と演説。立正佼成会と地元キリスト教団体のホームステイ交流や奨学金支援、平和教育の成果を挙げて「和解とは忘れることではなく、痛みを分かち合って共通の目標に変えていくことだと気づかされた」と訴えた。

 バガクのデルロサリオ市長は「塔は善意だけでなく誓約も示している。私たちは戦争で二度と分断されないという約束だ」と述べた。日本大使館の花田貴裕総領事も「戦争の惨禍を二度と繰り返さない決意」を誓った。