厚生労働省の有識者検討会は7日、介護業界の人手不足が深刻化する2040年を見据え、介護サービスの維持策を盛り込んだ報告書案をまとめた。過疎地では職員の配置基準を緩和し、都市部ではセンサーなど情報通信技術(ICT)を活用した24時間体制での見守りなど、地域の実情に応じた対策の検討を求めた。厚労省は27年度からの制度改正に向け検討を進める。

 報告書案は、40年には認知症や1人暮らしの85歳以上が増加する一方、人口減少や高齢化の進み具合で介護需要に地域差が生じると強調。地域を「大都市部」「中山間・人口減少地域」「一般市等」に3分類し、それぞれの状況に応じたサービス提供、支援体制の構築が重要だと訴えた。

 中山間・人口減少地域の多くは、現役世代が減って職員の確保が困難になる中、施設によって利用者3人を職員1人がケアすると定めた基準を緩和することを提案。訪問介護や通所介護(デイサービス)でも緩和すれば職員が複数のサービス間を柔軟に「行き来」できるようになると明記した。