【ニューヨーク共同】米紙ニューヨーク・タイムズ電子版は6日、昨年12月に崩壊したシリアのアサド政権が化学兵器の製造・保管などに利用した秘密施設が100カ所以上残されている可能性があると報じた。化学兵器禁止機関(OPCW、本部オランダ・ハーグ)が研究者や加盟国からの情報を基に初めて推計をまとめたという。

 武装勢力などの手に渡る恐れもあるため、OPCWは現地に専門家チームを派遣して調査を開始する。

 同紙によると、アサド政権は2011年からの内戦で反体制派や市民に対しサリンなどの化学兵器を使用。化学兵器禁止条約に13年に加盟後は国内27カ所の施設を化学兵器関連施設だと申告して査察を受け、OPCWは16年に化学兵器の廃棄を完了した。

 しかし、その後も化学兵器製造や使用の疑いは解消せず、一部の施設は洞窟など人目に付かない場所に隠され存続してきたとされる。

 アサド政権崩壊を受けて発足したシリア暫定政府のシェイバニ外相は3月、OPCWの執行理事会で演説し、化学兵器の残存物を全て廃棄する方針を強調した。