北九州市門司区で2023年、妹を暴行し死亡させたとして、傷害致死罪に問われた元福岡県警警部補広瀬守隆被告(58)=懲戒免職=の裁判員裁判論告求刑公判が3日、福岡地裁小倉支部で開かれ、検察側は懲役10年を求刑した。弁護側は飲酒による酩酊状態で心神耗弱だったと主張している。

 検察側は論告で、過去に被告が元妻らに暴力を振るっていたことを認識していたのに、大量の酒を飲み続け、被害者に止められると腹を立て暴行を加えたと指摘。「身勝手かつ自己中心的だ」と非難した。

 2月の初公判で被告は「覚えていないが、私がやったことだと思う」と述べていた。

 起訴状によると、23年12月31日午後9時半〜同55分ごろ、門司区のビル2階玄関で、妹の山本美智恵さん=当時(55)=の頭や顔に暴行を加え、外傷性脳障害で翌日に死亡させたとしている。

 被告は当時、田川署地域3課に所属し、交番で勤務。事件前、山本さんらと昼から夜にかけて飲酒していた。福岡地検小倉支部は、刑事責任能力を調べる鑑定留置を経て起訴した。