PFASと疾患の関連について説明する京都大の小泉昭夫名誉教授=23日午後、大阪市

 健康影響が指摘される有機フッ素化合物(PFAS)を扱っていた工場従業員らの健康調査をした京都大などのチームが23日、大阪市内で記者会見を開き、代表物質PFOAを高濃度で検出し、一部の従業員らで間質性肺疾患の発症がみられたとの結果を発表した。チームの小泉昭夫京大名誉教授は「肺疾患との関連指摘は初とみられる。労働衛生上の対策が必要だ」と話した。

 近隣住民や地元農家についても分析し、いずれも高いといえる濃度だった。論文は厚生労働省所管の労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所の学術誌に掲載された。

 工場は、大手空調メーカー「ダイキン工業」の淀川製作所(大阪府摂津市)。大阪府北部の住民ら約1200人と、同製作所の元従業員ら7人の血液などを調べた。

 PFOAの血中濃度は、住民らの中央値が1ミリリットル当たり5ナノグラム(ナノは10億分の1)で、全国規模の調査で報告された数値よりも高い傾向にあった。元従業員ら7人は住民らの約40倍に上り、特にPFOAを扱う業務に関わっていたとみられる5人はより高かった。