太平洋戦争末期の沖縄戦の混乱で国外に持ち出され、米国内で発見、返還された歴代琉球国王の肖像画「御後絵」の原本の一部を、沖縄県が22〜30日、県立博物館・美術館(那覇市)で初めて一般公開する。6月から始める修復作業には約6年かかるため、県の担当者は21日に開いた報道説明会で「今のうちに見に来てほしい」と呼びかけた。
御後絵は15世紀半ばから明治時代初期まで19代続いた琉球王朝・第二尚氏の歴代国王の肖像画で、王の死後描かれた。2023年に計4点が米国内で発見されたとの連絡が県にあり、24年3月に返還された。
公開する御後絵は、米ボストン近郊の住宅で3分割された状態で見つかった絵のうち、縦約1メートル、横約30センチの1枚。県によると、当時貴重だった唐紙に国王が描かれており、第9代尚賢王、第10代尚質王のどちらかとみられる。
担当者は「今年は人命だけでなく、文化財も失われた沖縄戦から80年の節目の年。琉球王国の絵師の色使いや当時の文化に触れてもらえたら」と語った。