石破茂首相

 石破茂首相は、大型連休に検討するフィリピン訪問の際、太平洋戦争後に同国に残され、無国籍状態となった日系2世とマニラで面会する方向で調整に入った。日本国籍の回復を支援する考えを伝える方針だ。複数の政府関係者が11日、明らかにした。戦後80年の節目に、取り残されてきた日系2世の無国籍問題の進展を図る。

 首相は数人の日系2世と、対面で懇談する見通しだ。外務省によると、フィリピンに残留している無国籍状態の日系2世は134人。このうち約50人が日本の役所で戸籍を新たに作成する「就籍」を望んでいる。日本政府は、支援団体を通じて実態調査に取り組んできた。

 首相は3月の参院予算委員会で、国籍回復に向けた親族捜しのために日系2世が来日する費用を、政府が負担することに意欲を表明。来日が実現した場合の首相との面会についても「会うことで日本の思いが伝わるならば、ぜひ実現したい」と前向きな姿勢を示した。

 無国籍状態の日系2世は、フィリピンに戦前移住した日本人男性と、現地の女性の間に生まれ、戦後フィリピンに残留した。