石破茂首相は、物価高やトランプ米政権の高関税政策を受けた経済対策を講じるため、来週にも2025年度補正予算案の編成を指示する方向で調整に入った。関係者が11日明らかにした。電気、都市ガス価格を抑える補助金再開や、電気自動車(EV)といったエコカーの購入補助金の拡充案が浮上している。夏の参院選を見据え今国会で成立させ、経済重視の姿勢を打ち出す狙い。成立には野党の賛成が不可欠となる。
トランプ政権は5日、一律10%を追加で課す「相互関税」を発動した。第2弾の上乗せ分は90日間停止すると発表したものの、自動車に発動した25%の追加関税などは維持している。首相は国内産業への影響緩和と、物価高に苦しむ国民生活の負担軽減を図る必要があると判断した。
補正予算案には、経営が悪化した企業が解雇せずに雇用を維持する場合に国が手当を一部補填する雇用調整助成金への支出も候補に挙がっている。具体的な使い道を決めずに計上する予備費も積み増す方向だ。
与党では、全国民を対象に一律3万〜5万円程度の現金給付案が浮上している。実施する場合、補正予算案に数兆円規模の関連経費を計上する方向だ。