公正取引委員会が2024年度に行った下請法違反事業者への勧告数が21件で過去最多となった。委託先に不利な条件を強いる商慣習は「下請けいじめ」とも呼ばれ、中小企業の経営を圧迫。賃金にしわ寄せが及びデフレの一因とも指摘される。政府が賃上げの環境整備を進める中、公取委は慣習の一掃に向け、違反事業者に目を光らせる。
公取委は違反事業者に、減額分の支払いや再発防止を勧告できる。勧告時は事業者名を公表するため「経営者の意識変容と違反の自主点検につながっている」(公取委関係者)という。
22年度の6件、23年度の13件から大幅に増加した。部品製造に使用する金型や木型を無償で長期間保管させた事案が9件と全体の約4割に上った。大量の型を保管するための倉庫を借りるなど経済的負担となっており、集中的な調査と勧告が行われた。
24年7月に勧告したトヨタ自動車の子会社「トヨタカスタマイジング&ディベロップメント」では、保管させた委託先は49社に上り、最長で30年近くに及んだ。