天皇、皇后両陛下は7日、戦後80年に際し、太平洋戦争の激戦地・硫黄島(東京都小笠原村)を訪れ、国の「天山慰霊碑」(硫黄島戦没者の碑)で拝礼し、戦没者を追悼された。両陛下の訪問は初めて。今年は被爆地の広島と長崎、地上戦で多数の住民が犠牲になった沖縄も訪れる見通しで、平和への思いを示す一連の訪問が始まった。
天山慰霊碑は、旧日本軍の最後の拠点だった天山壕の上に造られ、日本人戦没者約2万1900人をまつる。雨の中、遺族らが見守り、両陛下は白いユリなどの花束を供え、深く頭を下げた。戦中、深刻な水不足による渇きに苦しんだ兵士らをしのび、ひしゃくで碑に献水した。
その後、軍属として亡くなった82人の島民をまつる「硫黄島島民平和祈念墓地公園」と、日米双方の犠牲を悼むために都が造った広場「鎮魂の丘」を順に回り、拝礼した。
訪問に合わせ、戦没者遺族や元島民の関係8団体の代表らが現地入りした。拝礼を終えた両陛下は、海上自衛隊硫黄島航空基地で懇談し「本当にご苦労されましたね」などと言葉をかけた。両陛下は夜、帰京した。