会計検査院長を19日で退官した田中弥生氏(65)が共同通信のインタビューに応じた。約1年2カ月の在任中、広報活動に力を入れたことに触れ「検査院の社会的認知度を上げることを意識した。検査報告が国民や国会議員の目に留まり、国会の審議で取り上げられ、財政民主主義の好循環を生むことができた」と手応えを語った。

 田中氏は検査院について「財政監督機関という普遍のミッションがあるが、認知度が低いと、いくら良い検査をしてもインパクトが弱い」と指摘。例年より報道発表を増やしたり、ユーチューブに動画を載せたりといった広報活動を展開したと振り返った。

 新型コロナウイルスや物価高騰の対策など、国民生活に直結するお金の使い道を検査することには「自分が受け取った給付金の実態はどうだったのかと興味を持ってもらえる。次はどんな検査報告を出すのかと国民の期待も高まる」と意義を強調。今後の検査院に「補正予算や予備費、防衛費の全体像を明らかにするようなスケールの大きい検査にも引き続き取り組んでほしい」と求めた。