福岡地裁

 大分県佐伯市の海運会社「福永海運」の男性従業員=当時(30)=が2019年に自殺したのは過重な業務やパワハラが原因だとして、両親が会社側に約6800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、福岡地裁は19日、「業務によって精神障害を発病し自殺に及んだ」と認め、会社と上司に計約6600万円の支払いを命じた。

 林史高裁判長は判決理由で、上司からの「ナマケモノの態度を改めなければあなたを必要とする理由が見当たりません」といった内容のメールは「人格をおとしめる表現で業務上の必要性はなく、社会的相当性を欠き不適切」と指摘。

 判決によると、従業員滝本明範さんは書類の訂正を指示されていた19年4月8日、自宅で自殺した。佐伯労働基準監督署は時間外労働(残業)が増え、パワハラも受けていたとして、21年4月に労災認定していた。

 遺影を傍らに置き記者会見した父親(68)は「ここに至るまで長かった」と話した。福永海運は「判決の詳細を確認できておらず、コメントは差し控える」としている。