小林製薬の紅こうじサプリメントによる健康被害問題を巡り、大阪市は19日、工場で起きたトラブルを品質事故として報告する基準がルール化されておらず、管理体制に複数の不備があったとする調査報告書を公表した。昨年3月の被害発覚から1年となるのを前に、国に提出した。
厚生労働省は、同社の旧大阪工場で採取した青カビから「プベルル酸」を検出、腎障害の原因だと特定。市は報告書で、工場に存在した青カビが混入・増殖した可能性に言及、カビが混入した場合の危害が十分認識できていなかったとした。
管理体制は(1)紅こうじを増産する時期は従業員1人当たりの業務負荷が増大していた(2)従業員教育が現場任せで適切に記録されていなかった―とも指摘した。
市の疫学調査は、少なくとも約2700人が健康被害に遭ったと認定。横山英幸市長は対応が難しい案件だったとした上で「後遺症に悩まされている方もいる。企業側には引き続き丁寧な対応を求めたい」と述べた。
大阪市内では同日午後、被害弁護団が記者会見。行政の対応も遅いと批判した。