佐藤壮一郎被告

 職務で知った情報を基にインサイダー取引をしたとして金融商品取引法違反の罪に問われた裁判官出身の元金融庁職員佐藤壮一郎被告(32)は19日、東京地裁の初公判で起訴内容を認めた。被告人質問では「将来に不安があった」と動機を語った。検察側は懲役2年、罰金100万円、追徴金1020万円を求刑し、弁護側は執行猶予付き判決を求めて結審した。判決は26日。

 検察側は冒頭陳述で、金融庁に出向してTOBの書類審査などを担当していた被告は、違法性を認識しながら公表前のTOB情報を基に株の売買をしたと指摘。得た利益を別の株の購入資金に充て、さらに利益を上げていたと主張した。

 佐藤被告は被告人質問で、違法な株取引をしたきっかけを「市場の仕組みを知るために始めた。少額だったら許容されると思った」と説明。利益を得たことで「老いていく両親や、養わなければいけない家族のために、金を増やさなければいけないという目的意識に取りつかれた」と述べ、大きな額の取引を繰り返すようになったと振り返った。