大規模山林火災で避難指示が10日に解除されたばかりの岩手県大船渡市の三陸町綾里や赤崎町は、消火活動を続けるヘリコプターが上空を飛ぶ中、11日を迎えた。東日本大震災で津波による甚大な被害を受けた同市。住民らは、火災による住宅焼損に落胆する一方、復興に向けて取り組むことを誓った。
同市の村上百合子さん(68)は三陸町綾里の港地区にある焼失した親族宅の前で、地震発生時刻に手を合わせた。「絶対みんなで復興してやるぞという気持ち」と話した。
赤崎町合足の古内嘉博さん(69)は「津波の対策はしていたが、まさか山火事とは」。14年前の津波で倉庫として使っていた建物が浸水し、両親らを連れて裏山に避難した。今回もその建物が被害に遭い、置いていた農具が焼失。「ようやく津波被害から回復してきたと思っていたところだった」と途方に暮れた様子だった。
火災は2月26日に発生し、3月9日に鎮圧した。焼失面積は約2900ヘクタールで住宅102棟に被害が出た。