記者会見する岩手県花巻市猟友会長の藤沼弘文さん。右は「日本熊森協会」の室谷悠子会長=10日午後、東京都中央区

 自然保護団体「日本熊森協会」(兵庫県)は10日、東京都内で記者会見し、今国会に提出された鳥獣保護管理法改正案の改善を求めた。改正案ではクマなどを「危険鳥獣」と定義し、一定の条件下で市街地での銃猟を可能とする。協会は「『危険』とレッテルを貼れば捕殺が進み、絶滅しかねない」と警鐘を鳴らした。同日午前、環境省に要望書を提出した。

 会見で室谷悠子会長は「森林破壊で奥山にすめなくなったから里に出てくる。捕殺しても根本解決にならない」と強調。柵を設けるなどして人に近づいてはいけないことや、集落との境界をクマに学ばせ、事故を防ぐべきだと訴えた。

 岩手県花巻市猟友会長の藤沼弘文さんは「(イノシシなど多産の動物と異なり)餌がないと子を生まないので、繁殖に時間がかかる」と指摘。北海道猟友会標茶支部長の後藤勲さんは、クマが積極的に人里で襲ってくることはないとし「アイヌ民族は山の神としてまつり守ってきた文化がある」と語った。

 改正案は、人の日常生活圏にクマなどが現れた場合、市町村長が発砲を判断するとしている。