日産自動車(横浜市)は岡山理科大などと連携し、世界自然遺産に登録された鹿児島県の奄美大島と徳之島に生息する特別天然記念物アマミノクロウサギを、電気自動車(EV)による交通事故から守ろうと、高周波音を発する装置の開発を進め効果を確認した。「車と野生生物の事故ゼロを目指す」として引き続き実験を重ねる。
同社によると、EVはガソリン車に比べ音が静かで、野生生物が接近に気付きにくい。このため、歩行者に接近を知らせる装置から着想し、アマミノクロウサギに有効な高周波音を特定する研究に着手した。
昨年12月には、フロント部分に装置を組み込み、奄美大島の林道を時速10キロで走行する実証実験を実施。高周波音のスイッチを入れた途端に、アマミノクロウサギが逃げ出した。ふんが多数ある場所での実験でも、高周波音の照射範囲内にクロウサギの姿がカメラに写らなくなり、出現を抑止できたとしている。
環境省のまとめでは、2023年に交通事故で死んだアマミノクロウサギは奄美大島で147件と過去最多を記録した。