プラスチック粒子を撮影して分析する装置(海洋研究開発機構提供)

 プラスチックごみによる海洋汚染の深刻化を受け、海洋研究開発機構(海洋機構)は、環境中で微細化したマイクロプラスチックの大きさや材質を、従来より約6倍速く分析できる装置を開発した。実用化されれば分析作業の効率化が見込まれ、海域ごとの汚染実態の把握や監視の強化が期待できそうだ。

 ごみとなったプラスチック製の包装容器などは川や海に流れ込み、紫外線や波の作用で壊れる。5ミリ以下の粒子になった物はマイクロプラスチックと呼ばれる。従来は海水に含まれる多数のごみの中から、ピンセットで1粒ずつ取り出し、数や大きさ、材質を手作業で調べていた。技術が必要で時間もかかり、紛失するリスクもあった。

 開発した装置では、採取した粒子をプレートに載せて専用カメラで撮影すれば、ほぼ自動で分析できる。赤外線を使って紫外線による経年劣化の状況も解析できる。千粒の測定に約10日必要だった作業は約2日に短縮され、特別な技術がなくても分析が可能になる。

 プラごみを巡っては、環境汚染を防ぐための国際条約作りが進められている。