分子を無数の穴の開いた結晶に染み込ませ、構造を正確に分析できる「結晶スポンジ法」を開発した藤田誠東京大卓越教授の研究チームが5日、より大きな分子も簡単に分析できる「第2世代」の結晶スポンジ法をつくったと、国際専門誌「ネイチャーケミストリー」に発表した。従来は難しかった水溶性の分子も調べられ、創薬への活用が期待される。
分子の構造をエックス線で調べるには一般的に、高品質な結晶をつくる必要があり、多大な労力と大量の試料が必要。藤田氏らは2013年、ひとりでに分子が組み上がる「自己組織化」という現象でできたスポンジ状の結晶に、構造を調べたい分子が規則正しく染み込む結晶スポンジ法を発表した。
ただ、この第1世代の対象は分子量が300以下に限られ、分子を染み込ませる際に高度な技術が必要。普及の足かせとなっていた。
第2世代では、分子量が千以上の大きな分子も調べられ、作業は大幅に簡略化。試料も少量で済む。
藤田氏は「今度こそ社会実装につなげ、大きな変革を起こす第一歩だ」と話した。