小型化した免疫不全ブタのオス(★)(農研機構提供、画像の一部が加工されています)

 茨城県つくば市の農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)は4日、体内に入った異物を排除する免疫反応を抑えた医療研究用の「免疫不全ブタ」の小型化に成功したと発表した。体重を従来の約8割に軽減することに成功したといい、さらに小型化が進めば無菌装置で飼育できるようになり、長期試験が可能になると期待する。

 免疫不全ブタは農研機構と理化学研究所などが2012年に開発。拒絶反応を起こさないため人間の細胞を移植することができ、がんの治療法開発や再生医療の研究などに活用されている。一方、体格が大きく飼育施設が限られるほか、感染症に弱いため2〜3カ月程度で死んでしまい、長期飼育が難しいという課題があった。

 今回遺伝子を操作するゲノム編集技術で、成長ホルモンを抑えて小さくしたブタを開発。通常サイズの免疫不全ブタと交配させ、生後2カ月の体重は従来ブタ約16キロに対し、約13キロとなった。

 従来の約半分の体重になるまで交配を進めた上で2026年度以降の安定生産を目指すとしている。