核融合スタートアップのヘリカル・フュージョン(東京)は3日、核融合反応から熱を取り出す「ブランケット(毛布)」と呼ばれる部材の性能試験を4月にも始めると明らかにした。この日、関連装置を岐阜県にある核融合科学研究所に搬入した。発電の実現に不可欠な重要部材だが、実用化された例はまだない。
宮沢順一最高技術責任者は「遅くとも1年以内に良い結果を出して、日本の核融合開発に弾みをつけたい」と話した。同社は2030年までに主要部材を組み合わせた運転試験を終え、34年には発電用の実機を稼働させる考えだ。
核融合は、軽い原子核同士が融合して重い原子核に変わる反応。ブランケットは炉の内壁で、反応から出てくる大量の中性子を受け止め、熱に変える。この熱で水を蒸気にし、タービンを回すと発電ができる。
核融合炉の運転を続けると、ブランケットには中性子が大量に当たり劣化する。これに対し、リチウムや鉛、スズを混ぜた液状の金属材料を中性子が当たる面に流し続け、いつも新しい状態に保って長持ちさせるのが同社の戦略だ。