3歳女児が亡くなる医療事故が発生した県総合医療センター=27日午前、岐阜市野一色

 岐阜県総合医療センター(岐阜市野一色)は27日、小児病棟に入院中の県内在住の女児=当時(3)=が昨年7月、気道確保のために首に装着していた呼吸を補助する器具「気管カニューレ」が外れ、1カ月後に死亡する医療事故があったと発表した。事故当時、異常を知らせるアラームが鳴らなかったとみられる。センターは今年1月に外部の医療関係者を加えた調査委員会を立ち上げ、当時の状況や原因を調べている。

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 センターによると、昨年7月下旬の午前8時58分、回診した主治医が、女児の気管カニューレが外れて心肺停止状態になっているのを発見した。女児は蘇生措置を受け、心拍は再開したものの、その後衰弱し、亡くなった。気管カニューレが外れた原因は不明。

 事故があった日の早朝、看護師が女児に対し、気管カニューレの痰(たん)吸引などの「看護処置」をしており、患者の指先に装着して血液に酸素が行き届いているかを確認するモニタリングを一時的に中断していた。その後も何らかの原因で、中断状態が続き、ナースステーション側でアラームが鳴動しなかった。この日は、数秒間、一部で通信不良の時間帯もあったという。

 調査委員会では、▽気管カニューレ装着患者の治療・管理▽アラームやモニタリングの管理▽通信状態を含めたモニター機器の管理-を主な検討課題としており、今後報告書をまとめた上で、詳細を公表する。

 桑原尚志院長は「本事故を重く受け止め、亡くなられた患者さんのご冥福を心よりお祈りするとともに、ご遺族に心よりお悔やみ申し上げます」とコメントした。女児の母は代理人の弁護士を通じて「まだ3歳だった娘の命が奪われたことは無念でなりません。公正な調査によって真実が明らかにされることを願っています」とコメントを寄せた。