県独自大会を制した大垣日大ナイン=2020年8月、岐阜市長良福光、長良川球場

 新型コロナウイルス禍で全国高校野球選手権大会が中止となった2020年夏に高校3年だった元球児たちが、11月29日から3日間、甲子園球場など兵庫県内で大会を開催する。岐阜県内からは、県独自大会で優勝した大垣日大高校OBメンバーが出場する。同校の代表を務める大学3年の酒井大翔さん(20)は「まさか甲子園で野球をする機会をもらえるとは。みんなの力で成功させたい」と話す。

 大会は、東京・城西大城西高校OBで大学3年の大武優斗さん(21)が発起人となり、「あの夏を取り戻せ 全国元高校球児野球大会」と題して企画。東京都内であった記者会見で、大武さんは「3年前の選手が悔しさに終止符を打つ日にしたい」と思いを語った。

 昨夏から交流サイト(SNS)で各都道府県の独自大会優勝校に呼びかけて、44チームが出場予定。11月29日に甲子園球場でセレモニーや代表試合が開かれ、30日と12月1日に兵庫県内の球場で各チーム1試合ずつの交流戦を行う。

 「高校時代の目標をコロナで奪われた。甲子園がない中でも練習して勝ち取った独自大会優勝はうれしかったが、やりきれない気持ちもあった」。酒井さんは当時の心境をそう振り返り、「甲子園ではできないと思っていた中で、素直にうれしい」と大会の開催に声を弾ませる。

 同年の大垣日大高校の3年生は14人。ほとんどのメンバーが集まるといい「みんな乗り気。大学で野球をやっている選手もいるので成長した姿を見せられる」と意気込む。学校の許可が必要だが、母校のユニホームを着用して臨む予定だ。

 実行委員会は6月7日からクラウドファンディングで、会場費や選手の交通費などの大会運営資金を募る。目標額は7千万円。酒井さんは「僕たちの世代で甲子園がなかったことを忘れられてしまうのがさみしい。多くの人に協力してもらえたら」と話している。詳細は「全国元高校球児野球大会」の公式ホームページで。