オウム真理教による地下鉄サリン事件は20日、発生から30年。首都中枢を襲った前代未聞のテロは14人の命を奪い、重軽症者は6千人以上。今も多数が後遺症に悩まされる。支援してきたNPO法人「リカバリー・サポート・センター」(東京)は今月末にも解散。被害者や遺族の高齢化が進む中、風化の防止が課題となる。
確定判決によると、松本智津夫元死刑囚=執行時(63)、教祖名麻原彰晃=が事件を首謀した。サリンの製造役や地下鉄車内での散布役などに分かれて実行。関与が認定された教団幹部らのうち、松本元死刑囚を含む10人が死刑判決を受けた。教団による別の事件を合わせると計13人の死刑が確定し、執行された。
一連の事件は被害者支援改善の大きな契機になった。遺族らが制度の不備を疑問視する声を上げ続け、傍聴席で見守るしかなかった刑事裁判に参加できる制度なども創設。被害者の会や公安調査庁は、当時を知らない世代にも関心を持ってもらおうと、アーカイブサイトの公開を始めた。