日本人は自由や人権に基づく民主主義国で主流の考え方よりも、中国やロシアのような権威主義国が影響力工作に使うメッセージに説得されやすいとの調査結果を、早稲田大の小林哲郎教授らのチームがまとめ、比較政治学の学術誌「デモクラタイゼーション」に発表した。
SNSの普及で、感情や価値観に訴えるメッセージの拡散が権威主義体制の正当化の新たな手段となった。ドイツの調査では、政治の知識が少ない人らが特に動かされやすいとの結果が出ている。だが日本では、受け手によらず一様に影響を受けやすいことが判明。チームは「日本の民主主義に対する脅威となる可能性がある」と警告した。
2023年、18〜79歳の約3300人に国際問題への意見を尋ねる調査を実施。例えばロシアのウクライナ侵攻について、質問文に「欧米側が約束を破ったため」という主張を加えたものを提示し、侵攻への賛否を聞く方法だ。
中国の一帯一路政策や香港の民主化運動も含め12項目を尋ねた結果、権威主義国側のメッセージに意見がより強く引きずられる傾向がみられた。