千葉地裁

 千葉県長生村の自宅で昨年7月、介護していた重い知的障害のある次男=当時(44)=の首を絞めて命を奪ったとして、殺人罪に問われた無職平之内俊夫被告(78)の裁判員裁判で、千葉地裁は12日、懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役5年)の判決を言い渡した。

 浅香竜太裁判長は判決理由で、次男が自宅の電化製品を壊したり、近くの店舗に侵入して商品を引っかき回したりしていたとした上で「高齢の自身か妻が倒れたら面倒を見る人はいない、と将来を悲観し殺害を決意した」と認定した。

 神奈川県内で長く暮らし介護を続けたが、県の障害者施設から次男の長期入所を断られるなどしたため、近隣トラブルも考慮して昨年5月に長生村へ転居したと指摘。「追い詰められた状況で酌むべき事情はある」として刑の執行を猶予した。

 判決によると、昨年7月4日夜、次男の首をテレビのコードで絞めて殺害した。

 判決後に記者会見した裁判員の50代男性会社員は「誰にでも起こり得ると感じた。(被告のような状況の人を)社会全体で支える制度設計が大切だ」と話した。