鬼怒川(左)が氾濫し、冠水した茨城県常総市=2015年9月

 2015年9月の関東・東北豪雨で、鬼怒川の氾濫などによる浸水被害は河川管理の不備が原因だとして、茨城県常総市の住民らが国に損害賠償を求めた訴訟で、一部住民が11日、堤防が決壊した地区についての不備を認めず、賠償命令が一部にとどまった二審判決を不服として最高裁に上告した。

 2月の二審東京高裁判決は、水があふれた若宮戸地区では国が長期間、開発に許可が必要な河川区域に指定しなかったとして、管理の瑕疵を認定し、9人に計約2800万円を支払うよう命じた。

 堤防が決壊した上三坂地区では、河川改修計画が格別不合理だったとは言えないとして、住民らの請求を退けた。

 上告後に東京都内で記者会見をした原告の片倉一美さん(71)は「決壊の危険性が高かった上三坂の堤防整備を国が進めていたら、私たちのような被害者は生まれなかった。司法には国民の生活を守る責務があると訴えたい」と話した。