ウランを使った蓄電池=茨城県東海村の日本原子力研究開発機構原子力科学研究所(同機構提供)
 ウラン蓄電池の模型を手にする日本原子力研究開発機構の担当者=13日午後、文科省

 日本原子力研究開発機構は13日、放射性物質のウランを使った蓄電池の開発に世界で初めて成功したと発表した。実用化できれば原発の燃料製造で生じる副産物「劣化ウラン」の使い道となり、メガソーラーなど再生可能エネルギー発電で余った電力をためる役割が期待されるという。ただし実際の設置は原発敷地内などの放射線管理区域に限られる。

 蓄電池は幅約10センチ、高さ約5センチで、負極にウラン、正極に鉄を溶かした電解液を使用。電圧は一般的な乾電池の1・5ボルトに近い1・3ボルトで、発光ダイオード(LED)につなぐと点灯。充放電を10回繰り返しても性能が変化せず安定していることも確認した。使用したウランと劣化ウランは化学的性質が同じ。

 機構は2025年度以降、タンクに入れた電解液をポンプで循環させることで蓄電量を増やせる「レドックスフロー電池」として開発を進める。担当者は「新たな資源として劣化ウランの価値を生み出していきたい」と話した。

 劣化ウランは「燃えないウラン」とも呼ばれ、国内では約1万6千トンが保管されている。